STOCKNOIZ

日常のノイズをストックする

黄泉路 − ②中学三年の夏 −

− 中学三年の夏 −
 中学三年になると夏休みに模擬試験があり、今まで大好きだった夏休みはいつしか別のものに変わっていた。毎日勉強漬けで飽き飽きしていたが、ようやく模擬試験が終わり、張りつめていた気持ちが一気に解放された。
「蓮介、テストどうだった?」友人の颯太が声を掛けてきた。
「全然ダメ…。そっちは?」
「オレが出来ると思うか? まぁ結果はどうあれやっとテストは終わったぜー。…なぁ中学生最後の夏だし、みんなでどこかに行かない?」
「それなら8月12•13日にカワセミ森林公園で肉フェスがあるよ。その近くには川もあって渓流釣りもできるんだぜ…」友人の尊(たける)がスマホを見せて颯太と盛り上がっていると、「いいなぁ。私達も行きたいー」と班(グループ)で仲の良い女子メンバーの栞と莉央も乗り気だ。
「おい蓮介、お前も行くよな。」と颯太が誘ってくれたが、「えぇと…」と僕は何か引っ掛かるような気がして返答に困まっていると、「蓮っ、どうせ予定ないんでしょ? 荷物も多くなりそうだし…」と後席で幼なじみの栞(しおり)がからかってきた。
僕は少しムッとしたが、栞の言うとおりで予定はなく、言い返すことができなかった。
 栞は幼なじみで小学校の時は特に気にしたことはなかったが、中学校で同じ班のグループ活動をした時に気になり出し、意識するようになっていた。
 僕は引っ掛かることが思い出せずに、栞も一緒に行くそのイベントが楽しみになった。
 こうして班の男女5人のメンバーでレジャーに行くことになった。

 当日、朝7時に集合場所のコンビニに皆が自転車で集まり、1時間も掛けて山の森林公園まで辿り着いた。皆汗だくでヘタリ気味だったが、午前中は肉フェスで美味しいものを食べてテンションも上がり、くだらない会話をしているだけで楽しくて疲れはいつの間にか消えていた。 午後になって、皆、お腹も満たされ、もう少し山奥に行くと釣りスポットがあるとのことで、カワセミ森林公園からさらに自転車で20分掛けて河岸に辿り着いた。
山の売店で釣具をレンタルし、制限時間に誰が一番多くイワナやヤマメが釣れるか競うため、それぞれ釣れそうなポイントを探して釣り始めた。
しばらくすると、何やら女子たちが騒がしく、栞の竿に魚が掛かり、釣り上げた魚が跳ねて手をやいていた。
それを見ていた男子たちは、勝負に負けられないと上流の方へと進んで釣り始めた。
 皆、釣りに夢中になっていて、いつの間にか小雨が降ってきたが、レインウェアを着るまでもないと気にも止めなかった。
 気づくと水嵩が増し、辺りを見回すとここまで渡ってきた岩も沈み、流れも速くなっていた。僕は危険を感じ、皆に呼びかけようとしたその時、
「莉央ー!」とただならぬ声がした。
僕は急いで沈んだ岩を伝い、下流の方へ戻ると、女子メンバーの莉央が川に流されていて栞が助けようと追い掛けていた。
僕は急いで川に飛び込み、無我夢中で2人の後を追い掛けた。
栞は何とか莉央に追いつき、後ろから抱き抱えた。

「栞ぃぃー! この先に岩があるぞー そこへ!」僕は必死に叫んで2人の後を追った。2人は岩に辿りつき、栞は一人が載れる程しかない岩に莉央を少しずつ押し上げて避難させ、岩にしがみついていた。
「栞待ってろ! 今行くから…」
 その時、川の底から金色の閃光が走り、それはまるで金色に輝く道のようだった。
「黄泉路だ。…」
 その金色の閃光が栞の脚に掛かった時、川の流れは勢いを増し、栞は流れに耐えられずに岩から手が離れて金色の閃光に流されてしまった。
「栞ぃぃー、行くなー」僕は頭が真っ白になって、必死で手脚を掻いて泳いだが、栞を見失ってしまった。

「…78910… 大丈夫ですか! 返事してください… 分かりますか!」
「蓮介ーー!」「蓮介、死ぬなー!」

「…なんかとても騒がしい…  
ん…ここはどこだろう…空が見える。
胸のあたりが激しく痛い…」

「蓮介! 蓮介の意識が… おい連介っ…大丈夫か!」颯太と尊が泣きながら叫んだ。
ゆっくりと横に目をやると、石が沢山あり、その向こうに深緑の木々ともの凄く早く動いている深いエメラルドグリーンが、寝ている自分が乗り物に乗っているような錯覚になり、それがとても恐ろしいと感じた。
胸や背中に痛みがあり、心臓マッサージで懸命に応急手当をしてくれて助かったのだと分かり掛けてハッとした。
「栞はっ?…」僕はすぐに立ち上がろうとしたが全身に力が入らず、フラついてタンカーに座り込んでしまった。
「颯太、栞はっ?…」
「……… 今、下流の方を救助の人が探しているけど…」と颯太はうつむき暗い顔をしている。

「嫌だ!…そんなの絶対嫌だ…」僕は何かできる手立てがないかと必死で考えを巡らせた。
「…栞が流されるあの時、金色の光……あれは黄泉路だ。 たしか婆さんが…」
「蓮介、お盆の13日と16日の2日間は黄泉路が出る日だで、山や海には近づかないほうがええ。
13日はご先祖様の魂があの世からこの世へと帰ってくる日だで、お迎えにお墓参りに行くんだ。その時にナスとキュウリで作った牛と馬を供えるんだ。ご先祖様が帰ってくる乗り物がないと困るだで。
 そして16日は、ご先祖様の魂があの世へ戻られるからお見送りのお墓参りをするんだ。」と婆さんが言ってたことを蓮介はようやく思い出した。

−つづく−

 

黄泉路 −①婆さんとの思い出−

黄泉(よみ)とは死後、その魂が行くとされている地下の世界。

 

−婆さんとの思い出−

 幼い頃、婆さんに連れられてよくお墓掃除に付き合わされた。僕の家のお墓は山のお寺に在って、家から大人でも自転車で30分掛かる。

夏の猛暑に小学校低学年で、ようやく自転車に乗れるようになった僕にとってはなかなか大変な行事だった。
「ハァ、ハァ、ハァ … ねえ婆ちゃん、疲れたぁ… ジュース飲みたい~」
「お寺には山の冷たい湧き水があるで、もう少しの辛抱だで・・」僕と婆さんはこんな押し問答を繰り返しながらようやくお寺の門にたどり着き、その先を見上げると坂の上にお寺があった。
「さぁ、もう一頑張りぃ・・」と婆さんは自転車を押しながら急な坂を登っていく。
「え~もう喉がカラカラで…死ぬ~」
 坂を登り切ると道の左右に6体の地蔵様が並んでいて、婆さんは地蔵様に手を合わせて挨拶し、辺りの落ち葉をキレイに片し始めた。
 僕はようやく水が飲めると湧き水の場所へ走り、置いてある年季の入ったボコボコに変形した金ひしゃくで冷たい湧き水を一気に3杯も飲んだ。
「蓮介、お地蔵様も暑かろうて、お水をお供えしてな…」と言って婆さんは本堂へ進んでいく。
「え〜…」と僕は少し項垂れながらお地蔵様の前に置いてあるコップを集め、水を汲んでお供えした。

 辺りは蝉の鳴き声が途切れることなく響き渡り、気が狂いそうなほどにうるさい。

 婆さんの後に付いて靴を脱ぎ本堂に入ると、薄暗く静かで外の騒がしさから空気が一変した。
婆さんは蝋燭に火を点け、線香を焚いてお参りを終えると、奥の方から出てきたお寺の人と話し込んだ。
話はなかなか終わらず、退屈で薄暗い奥を除くと大きな仏像や仏具が所狭しと置かれていて少し気味が悪い。
見慣れない物ばかりであちこち見渡していると、脇の壁に掛けてある何やらおどろおどろしい掛け軸に息を呑んだ。
鬼に人間が首を切られたり、釜茹でにされたり、舌を抜かれたりと、幼い僕にとってはトラウマになるほどの衝撃で、後退りしかけたときに後ろから婆さんが話しかけてきた。
「わっ! なんだ婆ちゃんかよ…」
「蓮介や、これは地獄絵図と言ってな。悪いことをすると地獄に行って鬼に舌を抜かれたり、釜茹でにされるだで。」
「悪いことってどんなこと?」
「生き物を殺したり、人の物を盗んだり、婆ちゃんの言うことを聞かなかったりだぁ…」と婆さんは少しニヤりとした。
「ええぇ…生き物殺したりって、僕はもうバッタやトンボ、カエルやヘビとか殺してしまっているで…地獄行きだで…」
「そりゃぁ罰当たりだ! 祟りもあるで。
怪我をしたり、嫌なことがあったりするのは、そのせいでもあるだ。」
「蓮介や命は周っていてな。人や動物、虫たち生き物は姿、形は違えど同じ命だ。 蓮介も今は人間に生まれているが、次に生まれてくるときは違う生き物かもしれんで。 その生き物の立場になって考えられる者にならなきゃいかん。」
「今までした悪いことを反省して、お釈迦様にもう二度と悪いことはしませんとお祈りすればきっと救ってくださるで…」と婆さんは諭した。
 その話を聞いてからは、恐ろしくて蟻一匹でもできるだけ踏まないように心掛けるようになった。

 僕の家は農家で、小学校から帰ると両親より一足先に畑仕事を終えた婆さんが居間で近所の人とお茶を飲んでいて、テレビを観ながらバカ笑い声がしているそれがいつもの日常だった。
 バカ笑いの合間に時折静かになると、事件や事故、災害、世界で起きている戦争のニュースを観てはよく嘆いていた。
▪誘拐のニュースでは「どうしてこんな残酷なことができるだ? 同じ人間か… これは鬼の仕業だで」
▪自さつのニュースでは「よほど辛いことがあって思い詰めたんだろうが、決して自ら命を絶ってはいけん。親が大事に育ててくれたのに一時の苦難に挫けてはいけんで…」
▪事故や災害のニュースでは「さぞ辛く無念だったでしょうに… 大丈夫。きっとお釈迦様が幸せな人生に生まれ変わらせて下さるで…」
▪戦争のニュースでは「横暴な連中のせいで、結局何の罪もない人や子供らの命が犠牲になっているだで…」
とこんな調子で、婆さんは学があるわけでは無かったが、色んなことを知っていて人として一番大切な物事の道理を教えてくれた。

 僕が中学校に入る頃、入学式に着ていく制服が仕立てられ、試着すると婆さんが「蓮介…カッコええ。よう似合ってる。」と婆さんがとても喜んでいて、卒業式は婆さんも行くと言い出し、母と一緒に婆さんも来ていた。
 入学式の帰りに鮨屋に行き、婆さんが奮発して特上握りを食べさせてくれ、この時にこの世で一番旨い食べ物は鮨だと思った。
 婆さんはビールを飲んで上機嫌になり、「蓮介、今日はお祝いだで。何でも欲しいもの言ってみろ…」と赤い顔で胸を反らした。
「お婆ちゃん…」と母が困った顔をした。
僕はこのチャンスは逃がせないと「婆ちゃん、ずっと欲しかったクロスバイクがあるんだ!」
「蓮っ!」と母が睨んだ。
クロスバイク?  そりゃ何だぁ?」
「スポーツ自転車だで。友達も皆持ってるんだ…」
「それが欲しいだか…よし、分かった!」と婆さんは鮨屋を出た後にそのまま自転車屋に行き、奨められたパーツも合わせて8万円のクロスバイクを少ない年金からコツコツ貯めたお金で買ってくれた。今までジュース代もケチっていた婆さんが、こんなに高いもの買うなんて信じ難かった。

 そんな元気だった婆さんも僕が中学2年生の冬に流行り病を患って旅立ってしまった。
中学生生活は勉強や部活で何かと忙しい日常を過ごしていたが、ふとした時に婆さんとの思い出が出てきて気づくと涙が出ている。

 

−つづく−

 

Jazzの扉

最近流行りのポップスに少し飽き、マンネリ化した日常を変えたいと思っていると、なぜか無性にアップテンポのピアノ曲が聴きたくなった。

一概にピアノ曲と言ってもジャンルや曲調、テイストなど色々あり、カオス状態である。こうなると心の声を少しずつ辿るしかない。クラシック音楽は素晴らしいが、緊張感があって少し退屈に感じてしまい、自分の性には合わないようだ。その点ジャズは気軽に聴きやすく、リラックスできて好きなジャンルだ。

ジャズといえば「In The Mood」「TAKE FIVE」「moanin'」「Sing Sing Sing」「L-O-V-E」「クレオパトラの夢」「枯葉」「Fly Me To The Moon」「My Favorite Things」「What a Wonderful World」「A列車で行こう」など、一度は聴き覚えのある定番曲も良いのだが、ジャズを好きになったのはお気に入りのアニメ「カウボーイビバップ」のBGMに使われた菅野よう子さんプロデュースの架空バンド「シートベルツ」の影響で、その後にスタンダードジャズやピアノジャズを何度か聴いてみたが、いま一つ好みの曲調に辿り着けず、入り込めなかった。

それから長く経ち、最近のジャズがどうなっているのか気になって調べてみると、日本のジャズ インストバンドが凄いことになっていて、まさに追い求めていた曲調のオシャレでカッコいい世界があり、ついにその扉を開けた感じがした。

ただインストバンド紹介記事の日付を見ると2016年とあり、完全にその時の波に乗り遅れてしまっているのはショックだったが、今も精力的な活動をしていて、今後さらに楽しみなジャンルだ。

未だ聴き始めて浅いのだが、現時点で気に入ったアーティストを挙げておきたい。

◼️H ZETTRIO
◼️BohemianVoodoo
◼️fox capture plan
◼️toconoma
◼️Blu-Swing

 

とても素晴らしいジャンルに出会えて、さらに最新ジャズの可能性を追い求めたい一方で、「一体ジャズとはどんなジャンルなのか」これを機に調べてみた。

「ジャズは19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズアフリカ系アメリカ人コミュニティで生まれた音楽ジャンルで、ブルースやラグタイムをルーツとしている
(中略)
ジャズの特徴は、スウィングするリズムや、裏の音符の多いシンコペーションのあるリズム」
※引用:ジャズ「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA

「農作業をしながら奴隷生活の辛い体験や愚痴など色々な思いを歌にして歌われてたと言われるブルースがジャズの原型となったと言われており、ブルースに特徴的な3度、5度、7度の音が半音下がるブルーノートと呼ばれる暗めの響きの音を使ってよく口ずさまれていたものが、後にロックやジャズへ発展していった」

〈サイト参考〉

 

ジャズの魅力はオリジナル曲だけでなく、曲をジャズテイストにアレンジして流行りのポップスや古い名曲をよみがえらせたり、まるで魔法のように即興演奏する奇跡的なところだ。
そして、ピアノ、サックス、トランペット、ベース、ドラムなどの楽器を使ってポップス、ロック、ボッサ、テクノなどと融合することで無限の可能性を秘めているので、まだまだアーティストや曲探しの旅は続きそうだ。

〈参考サイト〉
https://ticketjam.jp/magazine/music/genre-summary/3075#

 

 

 

 

 

渡り鳥

休日、お気に入りの森林公園で池を眺めていると、つがいのカモが泳いで寄ってきた。

そのカモは周りにいるカルガモと違い、首から上が鮮やかなメタリックの緑色で首元の白いライン柄がまるでネクタイを締めているようなダンディな装いをしている。

調べてみると「マガモ」のオスで渡り鳥の冬鳥とあり、越冬するためにロシアや中国、遠くは北極圏から約4,000kmの距離を飛んで日本に訪れ、春になると繁殖のためにシベリア方面へ帰るという。(ガンや白鳥なども冬鳥)

渡り鳥が長距離を旅することは知っていたが、改めてよく考えてみると身近にいる鳥が実はすごいことをしている強者で、それを知ることで日常に少し深みが出ると思い、渡り鳥に関するサイトを参考にさせていただき、まとめてみた。

 

〈参考HP〉
https://birdwatch-wing.com/migratory-bird

https://www.nature-engineer.com/entry/2018/06/15/013559

https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/bbw/enjoy/

https://www.honda.co.jp/kids/explore/bird/

https://nature-and-science.jp/swallow/#page-1

 

渡り鳥といえばツバメもそうで、繁殖のために夏の時期を日本で過ごす「夏鳥」といわれる。
春になると、遠く南方のフィリピンやベトナム、マレーシア、インドネシアなど2,000~5,000kmの距離を飛んで日本を訪れ子育てし、10月秋ごろには越冬のために南方へ帰るという。

渡り鳥は「冬鳥」と「夏鳥」の他に、日本より北から南の長距離を移動し、休憩ポイントとして日本に立ち寄る「旅鳥」や日本国内の北から南で渡りを行う「漂鳥」、渡りをせずにずっと同じ地域にいるスズメ、カラス、カワラバト、メジロなどの「留鳥」に分類される。

渡り鳥のことが少し分かってきたが、やはり一番知りたいことは、野鳥たちはなぜ「渡り」をするのか?ということだ。

 

目的地までほとんど飲まず食わずで渡わたる鳥もいて、途中で力つきたり、嵐や天敵に襲われて命を落とす者もいる。又、渡った先が昨年と同じように過ごしやすい場所という保証もなく、大きなリスクが伴うのにどうしてそうまでして渡るのか?

 

それは、「過ごしやすい気温」や「外敵から身を守る環境」を求めての要因もあるようだが、一番の要因は「食べ物の問題」とされている。
ハトやスズメのように一年中日本にいれば食べ物に困こまらないのでは?とも思うが、鳥の中でも食べる物が違うのである。

ハトやスズメは冬でも見つけられる種子を食べるが、ツバメは昆虫を食べるため、昆虫が少なくなる秋冬は南へ渡たるのだ。
一方、冬鳥のマガモは川や湖で藻類、昆虫、甲殻類、小魚などを食べているが、シベリアなどの寒冷地では冬になると餌場が凍り、食べ物がとれなくなるため、水辺が凍結せず、食べ物がとれる日本に渡ってくる。

 

当たり前のことだが、動物は生きている以上は食べ続けなければならない。
人間の世界も鳥の世界も似たようなもので、相変わらず大変だが、また新たな年がスタートし、そろそろ春の長旅にむけて冬鳥のマガモや白鳥はシベリア方面へ思いを馳せ、南国にいるツバメは日本への旅支度をしている頃だろう。

どんだけー

テレビを観ていたらIKKOさんのお馴染みのフレーズ「どんだけ~」「背負い投げ~」が聞こえてきた。

この人、このフレーズで「どんだけ~」稼いだのだろう。
今さらながらよく考えてみると強烈に耳に残るパワーワードで、これは研究するに値するのではと思い立った。
そこでIKKOさんが言ったらハマリそうなパワーワードを考えてみようと思う。

まず、IKKO語録はどんなものがあるのか調べてみた。
「どんだけ~!」
「背負い投げ~!」
まぼろし~!」
「羽交い絞め~!」
「生き写し~!」
「いかほど~!」
「おごと~!」
「すちゃらかち~!」

こうみると語呂が良い4文字か5文字が結構多い。 「おごと~」「すちゃらかち~」は3文字と6文字で語呂が悪いし、もはや意味がわからない。

 

それでは 4文字か5文字の単語なら何でも良いのか。
ぐるなび~!」「まな板~!」

「もみあげ~!」「手羽先~!」
「かにみそ~!」「磯辺焼き~!」
とか。

 

いや、ただ文字数の単語を並べてもインパクトに欠けて印象に残らない。
もっとパンチが効いてる語句でないと。
「ゴリ押し~!」「デロンギ~!」「ボンクラ~!」「地獄谷~!」「丸出し~!」「まるパクり~!」

「ぬりかべ~!」
このフレーズはぬりかべ自身が言ってるか。

 

う~ん、なんかしっくり来ない。
「背負い投げ~」「羽交い絞め~」のように格闘技はパワーワードになりそうだ。

「回し蹴り~!」
なんかコミカルさに欠ける。
柔道技はもうすでに使ってるから相撲技はどうだろう。
「がぶり寄り~!」「うっちゃり~!」
とか。

 

一度、冷静になって考えてみよう。
IKKO語録のなかで、よく使われる定番のフレーズ「どんだけ~」「背負い投げ~」の共通点は語尾が「○aKe~(音)」だ。

では、あえて「こんだけ~」とか。(弱いな)

声高に「ぁけ~!」と叫ぶフレーズといえば…

「竿竹~!」

今はもう竿竹屋なんて無いか。
しかも「竿だけ」って、IKKOさんが言うと捉え方によってはちょっと…
「ドン引き~!」

 

やはり、IKKOさんを連想させるようなフレーズは相性が良いのではないか。

「釜めし~!」
「カツラ剥き~!」
「トッポギ~!」

「還暦~!」
「御来光~!」
ババロア~!」
ゴンチチ~!」

 

ん~もう「激ムズ~!」

 

こんな事に真剣になっている自分は
「ろくでなし~!」

 

それより洗濯物が「畳みかけ~」だし、
「ゴミ出し~」も未だだった。

 

 

 

卵サラダ

最近、何かと忙しい毎日で、効率よく生活するために時短・節約家事を心掛けるようになった。

ネットで時短レシピを調べると、ベーコンエッグはフライパンを使わずに電子レンジ(500W)で1分20秒程でできると知ってからは、頻繁に作るようになり重宝していたが、これでは野菜不足になると思い、キャベツも加えて食パンに乗せて食べたらボリュームもあって、外食のハンバーガーより経済的で結構旨い。

そんなある日、テレビを観ているとタレントさんが「朝は電子レンジで卵サラダを作ってサンドイッチを食べています」と言っていて、「そうか電子レンジで目玉焼きが出来るなら卵サラダも簡単にできることになぜ気が付かなかったのか」と早速作ってみた。
容器に卵を割って、破裂防止のために黄身を数回突いてから軽くフタをして1分20秒でスタート!

「ブォーーン・・・・BOM❗️」

(えっ…爆発?  何で?…   恐っ!     )

電子レンジの中を見ると卵が破裂して飛び散っていて、黄身がゴムみたいにカチカチになってしまい、とても食べれたものではない。
(かなり焦った)

破裂? いや、そんな筈はない。
以前、探偵ナイトスクープの神回「謎の爆発卵」を観て衝撃を受けてからは気を付けているし、少し加熱しすぎと思い、気を取り直して1分でスタート!

「ブォーーン・・・・BOM❗️」

(はい  爆発ー💣️)

また破裂? 今度は白身が生の状態だった。
これはもう、加熱し過ぎとか関係ない。もう何がなんだか…

ネットで調べてみると、皿に卵を割って、水が卵にかぶるくらい入れてから白身少し溶き、黄身に数ヶ所穴を開けてラップを軽くして電子レンジ(500W)で1分20秒加熱するとあり、まさか直で卵を水に浸して加熱とは思いもしなかったが、ゆで卵を作る要領なので確かに。と目から鱗だった。

あとはゆで卵をフォークなどで細かく潰してマヨネーズと合えれば、瑞々しい卵サラダの完成!

 

※卵は調理状況や加熱時間によって破裂することがあるため、電子レンジで調理するときは十分気をつけて。

 

犬焦る

犬、それは意外と不思議な存在である。

人と言葉を話せる訳ではないが、言いつけを守ったり、交通ルールの信号や道路、線路を我が物顔で走ってくるデカい箱がなんとなくヤバい奴というのも分かってるし、ここで用を足したらイカンだろうなと最低限の世の中のルールは知っている。

先日、近所の小さなスーパーに行ったときのことである。入口自動ドアのど真ん中にトイプードルがちょこんと座り、プルプル震えながら買い主を待っていた。近寄ってもじっとして動かないため、来店客はその上を跨ぎながら愛くるしい姿を横目に店へ入る有り様だった。緩いリードで繋がれていても店内に入ってはいけないことを理解していて自動ドアが開いてもレールの線から一切入ろうとしないのだ。

又、電車に乗ったときのことである。目の不自由な方が座席に座っていて、その座席下に白いラブラドールが身体を丸めて大人しく伏せて降りる駅を待っていた。電車に犬が乗っているのは新鮮な印象を受けるが、それだけ訓練を受けていて信頼できる証拠だ。外出での色々な誘惑に耐え、長年に渡り、飼い主の安全のためにしっかりサポートしている。福祉で活躍をしている優秀な犬と大した目的もなく街でブラブラしている自分を見比べると、頭が下がる思いである。

人間と犬との関係はとても古く、旧石器時代に人間が野生動物の狩猟に役立つオオカミを飼育していき、従順で攻撃性の低いものだけを選んでいった結果、長い年月を掛けてオオカミから犬へと進化したと考えられている。イスラエルで発掘された遺跡は約1万2000年前ごろのもので、人間と共に犬の骨が墓に埋葬されているのが見つかっていることから、犬は歴史上、人間が初めて相棒として家畜化した動物とされる。品種改良をされながら人間に寄り添い、荷物を運ぶ犬や狩りをする犬、家畜や作物、我々の命を守る犬、さらに心を癒すセラピー犬までも誕生し、人間が生き残り、定住し、繁栄する上で大きな役割を担ってきた。(他サイト参考)

時には吠えることも我慢し、行きたい散歩コースも変更され、飼い主がケチったドッグフードに文句も言わず、留守番中は退屈な日々に耐えてようやくオオカミの親戚から人間の家畜となり、人間の「友」という存在にまで登り詰めたのだ。

しかし、犬は焦っていた。

テレビで最近のペットは犬やネコだけでなく、ウサギやミニブタ、フェレット、フクロモモンガとかいうのも認知されてきたとあった。それどころかロボットやホログラムなどデジタル化が進み、ペット=生き物ですら無くなってきている。もはや何が何だか訳が分からない。 あのソニーの「AIBO」が発売されたときには、犬の存在が脅かされて生きた心地がしなかった。

人間はAIやデジタル化に追われて大変そうだけど、ペット事情もAIロボット化が進むなんていい迷惑で、巻き込み事故を喰らったようなものだ。犬の最大の武器である番犬の仕事も今やセコムやALSOKがあるし、この時代に吠えるなんて近所迷惑でトラブルになりかねない。

しかし最大のライバルはやはりネコである。猫は奈良時代の日本に中国から経典が輸入される際、ネズミが紙を食い荒らすのを防ぐため猫も一緒に連れてこられたと考えられており、その後、穀物をネズミの被害から守るために飼われるようになった。それがいつしか人間を癒すペットとしての座を築いている。普段は全く鳴きもしないのに飼い主がいるときだけ「ニャー」とネコ撫で声を上げて甘えるあざとい奴だ。

近年の住宅事情でペットは室内で飼われるようになってきたが、犬にとってはとてもマズい。もともと犬は番犬として外で飼われてきたのに、室内はストレスが溜まり、吠えたらうるさいと怒られるし、身体が大きいと場所とるし。しかし、どんな状況にも対応しなければ猫に居場所を取られかねない。いや~さすがに体の大きさまではすぐに進化できるものではないのに無茶苦茶ですワン。

それでも毎日縮こまり、願いながら生活した結果、豆柴、チワワ、トイプードルなどの小型犬も誕生させることができた。 ようやく猫による独占状態は回避できたが、まだ気を抜くことはできない。

そして、ついに私たち犬連合隊は、最後の切り札にたどり着き、極秘プロジェクトを着々と進めている。 それは、藤子・F・不二雄先生によるネコ型ロボット「ドラえもん」の実現計画だ。

さあどうするネコちゃん? これに勝るものはないだろう。 

「GOOD LUCK!」